「顧客」について、考えていないマーケターはいないと思います。総合広告会社で11年の業務経験、その後、デジタルマーケティング会社とPR会社でコンサルタントとして4年の業務経験の中で、様々な「顧客」を理解するためのデータに向き合ってきました。関わってきたデータを大別すると以下の5つです。
・CRMデータ ※秤のスコープ外
・時系列データ
・リスニングデータ
・GIS+人流データ
・消費者調査データ
秤が注力しているのは、CRMデータ以外の4つの活用です。なぜなら、これを活かしきれていない企業がほとんどだからです。CRMデータ(会員登録した顧客の行動データです)による顧客理解は、特にD2Cビジネスなどの企業が力を入れています。小売りに商品を納入するメーカーも、なんらかの形で自社顧客との直接的な接点を持ち、D2C企業と同様の思想で顧客理解を実現しようとする取り組みも増えました。

参考画像:アマゾンフライホイール 出典:https://www.slideshare.net/AmazonWebServices/amazon-culture-of-innovation
Amazonのフライホイールというスケッチは、品揃えが増えれば、顧客体験が良くなり、トラフィックも増えて、売り手も増えるというサイクルが回る中で、さらにコスト効率が上がり、安い価格で商品を提供できて顧客体験が良くなる、Amazon成長の原動力を示したものです。
フライホイールの様に顧客に良い体験を提供するためのデータ活用は理想であり本質です。しかし、近年の急速な各種マーケティングテクノロジーの発展ととともに、様々な企業が集めた「顧客」ログを消費者側が、どの様にデータを活用されているかの理解を得られていない状態で利用する本質的ではない取り組みが増えてしまいました。今後はクッキー規制などの法整備と、それに準ずる形でデジタルプラットフォーム企業自らが行う自主規制と、これまでの様に消費者のアクションのログデータを活用したい企業との「いたちごっご」が加速することは不可避であり、今にも増して重要になるのは、顧客理解とデータ活用の本質回帰です。
※日本だけでなく、先進国全体として、「データは顧客のもの」である。という流れに沿った法整備に取り組まれています。弊社代表の小川は日本独自のスキームとなる「情報銀行」の実験に関わり、新しい社会、データ利活用に関する取り組みに関わってきました。
クッキーレスのデータ(需要または市場を把握するデータ)から、大局を捉え、顧客に提供すべき価値とは何か?本質を見直し、方向性を定めることが重要であり、マーケティングの生産性の大きな差がつきます。
Amazon規模のビッグデータが集まるフライホイールの状況になっていないブランドのCRMデータの活用では、差がつきません。
さらに、マーケティング戦略意思決定のうち、大きなインパクトをもたらすのはWho、What、HowのうちWhatの定義です。
マーケティングにおこる各種のコミュニケーションを行うことで顧客(≒需要≒市場)全体がどの様に変化をするか数理的かつ構造化して捉えることができるか?これを適切に行うマーケティング・インテリジェンスのリテラシーで差がつきます。
消費者のアスキングやヒアリング、または観察から取得するデータや、SNSなどをリスニングして行うデータ、各種の時系列データの活用など、クッキーレスなデータから確かな戦略を導く「顧客理解」ができる状況を作ること、インハウス化の支援が秤の主なスコープです。
【弊社が主に活用している「顧客理解」の手法】
・時系列データ
→需要予測やマーケティング施策の効果の推定
・リスニングデータ
→消費者の隠れたインサイトを定量的ではなく、定性的なものとして活用
・GIS+人流データ
→出店戦略に関わる意思決定や人流データを用いた効果検証や競合分析
・消費者調査調査データ
→各種のシンジゲートデータパネル活用、アスキング調査、オンラインデプスインタビューの実行や観察調査